40年を経て大木になった桑の木

こんにちは、小西正尚です。
1年前に我が家の裏にある桑の木をご紹介しました。
エゾコゲラが丸い穴を開けている写真を掲載しました。

人生を共に過ごした桑の木

私の家のすぐ近くにあるこの桑の木は、私がこの土地に最初に家を建てた時は、1mもないぐらいの小さな木でした。
その頃は、これが桑の木だということにも気がつかなかったかもしれません。
あれから40年、家も建て替えて2代目となりましたが、大きく枝を広げた桑の木は、変わらず私の暮らしを毎日見守ってくれています。

中央には大きく枝を伸ばした桑の木、
その左手は昨年コゲラの巣をご紹介した枯れた桑の木です。

小西正尚撮影_大きな桑の木
小西正尚撮影 大きく育った桑の木の写真

北海道の養蚕の歴史

桑といえば蚕(かいこ)の餌として知られています。
絹糸の生産のために蚕が食べる唯一の葉が桑の葉です。
現在は北海道で養蚕業を営んでいる農家さんはあまり見かけませんが、日本で養蚕業が最盛期を迎えた明治時代以降、北海道でも養蚕が広がっていきました。
養蚕業は明治近代化の経済を支える産業の花形で、1900年代には日本の生糸生産量は世界一となり、外貨獲得のための産業として重要視されていました。
北海道で最初に養蚕業が導入されたのは江戸時代のこと。
その後、北海道が開墾されていくと同時に、養蚕もすすめられました。
札幌市の札幌駅周辺からやや西のエリア、「桑園(そうえん)」という地域は、名前の通り昔は桑畑で、札幌の養蚕業の拠点だったのです。

昔は寿都でも蚕をたくさん飼育して、養蚕をしていた農家がありました。
今ではすっかり見かけなくなってしまいました。

実も葉もスーパーフードの桑

小西正尚撮影_寿都の桑の実
小西正尚撮影 たくさん実った桑の実

桑の木には様々な効能があり、昔の人はスリコギや箸に使っていたそうです。

もちろんその実も栄養が豊富で、スーパーフードとして注目されています。
桑の実には、みかんやグレープフルーツと同等のビタミンCを多く含み、カリウムはフルーツの中ではトップクラスの含有量と言われています。

また、強い抗酸化作用があり、アンチエイジングに効果的なポリフェノールやビタミンE、フラボノイドなども含まれています。

そして実だけでなく、桑の葉には血糖値の上昇を抑制する「デオキシノジリマイシン」という物質を含んでいることが最近の研究でもわかっており、桑の葉をお茶にした「桑茶」も販売されているようです。

蚕は桑の葉しか食べない理由は、もしかしたら本能的に桑の高い栄養素を知っているからなのかもしれません。

小西正尚
Konishi Masanao